きのこの楽しみ方を紹介します。
きのこと言えば、やはり食べる事に興味を持つ人が多いと思いますが、有毒なきのこがあるので、気軽に食べる事を楽しむ事ができません。でも、見方を変えれば、もっと気軽にきのこを楽しむ事ができます。
きのこ豆知識で書いたように、一般的にきのこと呼ばれる子実体の部分は、生殖器官で植物にとっての「花」にもあたります。だから、効率よく生殖できるように、それぞれのきのこが子実体の形や色や匂いを工夫しているので、花のようにカラフルできれいです。
きのこには有毒のものもある事から、山や道ばたで出会うと気持ち悪く思ったり、食べられるかそうでないかと言う事だけ気にする人もいると思いますが、「花」を美しいと思うように、きのこのことも興味を持つことができれば、きのこ散策がより楽しくなると思います。
きのこはいろんな形、そして色とりどりで、まるで花のようにきれいです。
と言っても、やはりきのこを食べる事は楽しみの一つです。これも重要な観察でもあります。専門家の元きのこ狩りをして、優秀な食菌の群生地に出会うととてもうれしいです。帰ってからどんな料理にしたらいいかを考えるのも楽しみです。
食べられるきのこを採集して、料理します。
いろいろな料理に挑戦しました。きのこは味、香り、食感、ぬめりのあるなしなどで、合う料理が違います。
きのこはあらゆるところから発生するので、地上を探しているだけでは、片寄ったきのこしか見つからないと思います。きのこを探すポイントはまずは地上、でも地上に落ちている、落ち葉や木の実、虫などの動物の死骸や糞尿なども、よく見てみて下さい。オチバノアカビョウタケ(仮称)などの1mm以下のきのこを見つける事もできます。芝生の上も見てみて下さい。6〜7月に見ると、多くのきのこが発生していて、シバフタケの仲間などはフェアリーリングを作っています。樹上や材上、特に老木や倒木、切り株や小枝などにもよく生えています。古い倒木の皮をめくってみたりすると、菌糸を見つける事ができます。
ぼくが最近よくやっているのは、木の根もと(特にシイ、カシ、ナラ、ブナ、モミ、ツガ、マツ)を軽く掘ってみると、地下生菌が発見されます。ステファノスポラの仲間などの1mmほどのきのこも見逃さないように、じっくり見てみて下さい。
山だけでなく、都会の公園や校庭の植え込み、街路樹などにもよく生えているので、探して見て下さい。
写真を撮ると気軽にきのこコレクションができます。同定するのにも、写真を取る事は大切です。色とりどりのきのこを楽しんでみて下さい。
でも、きのこは小さいものが多く、多くは低い位置にあるので、いい写真を撮るにはけっこう技術がいります。かなりかがんで撮らないといけないので、虫さされにも気をつけないといけないです。
ぼくは、最近撮影する練習はじめたばかりなので、まだまだいい写真はとれませんが、これから、いっぱい練習しようと思います。
きのこを採集するのにも、技術がいります。特に地中に長く根性菌糸束(菌糸の束)がついているものは、深く掘って採集すると、標本価値があがります。冬虫夏草を見つけると、ギロチンと言って、きのこと虫を切り離してしまう事のないように、最新の注意を払って採集する必要があります。採集するとすぐにくさってしまうきのこもあるので、クーラーボックスなどを用意して持ち帰ったりします。採集するときは、場所によっては採集が禁止されているところもあるで、気をつける事と、取りすぎないように気をつけて下さい。
標本の作り方はいろいろありますが、研究用には冷蔵庫で乾燥させて、冷凍庫で保存するといいと思います。だけど、それでは冷蔵庫がたくさんいるので、たくさんの標本を作ったり、展示する為に、冷蔵庫に入れておけない場合や、縮むのを防ぐ為には、シリカゲルに入れて、冷凍庫に入れるなど、凍結乾燥させ、樹脂をぬって劣化を遅らせる方法があります。樹脂を塗ると、変色するきのこもありますので、気をつけて下さい。
きのこは1から育てるのはとても難しい生物ですが、スッポンタケ目(シラタマタケをのぞく)のきのこは卵のようなゼラチン質の幼菌の状態のものを持ち帰ると、成菌になるまで育てる事ができます。ティッシュやガーゼなどに水を含ませたものに、幼菌を置き、浴室や洗面所などの湿度の高い所においておけば、育ちやすいです。
他にも、材上のきのこであるロクショウグサレキンの仲間は、子実体を発生させる前から、材木が菌に犯されている事が、色によりわかるので、基質である材木を持ち帰り育てると、子実体を発生させる事ができます。これも、湿度の高い所に置き、まめに霧吹きなどで水をかけてあげると、育ちやすいです。
天然のシイタケを育てる場合は、シイタケの発生している材を持ち帰り、ロクショウグサレキン同様に育てると、幼菌が大きくなったり、新しい子実体を発生させたりします。
後、ホソツクシタケやマツカサタケなどもプチ栽培できます。
きのこの絵をかく事は、じっくり観察する必要があるので、きのこを学ぶにはとてもいい事です。ぼくはたまに絵をかいて、年賀状や暑中見舞いなどに使ったり、Tシャツにアイロンプリントをしてもらったりしています。きのこ絵ギャラリーでぼくの絵が見られますので、よかったら見て下さい。
きのこは日本で名前がついているきのこで5000種、ついていないきのこは2万から3万種と言われています。と言う事は、大半のきのこに、まだ名前がついていないのです。だから、新種を見つける可能性は他の生物よりすごく高いです。でも新種を発表するのは、英語で論文を書いて世界に認めてもらわないといけないので、小学生にはまずできません。でもぼくは西表島で見つけた2つのきのこを、学者の先生に見てもらった所、新種かもしれないという事で、仮称をつけてもらいました。「ヤエヤマツムタケ」と「ミナミスギタケ」です。これから研究を勧めてもらったら、もしかしたら新種発表してもらえるかもしれないので、とても楽しみにしています。
ぼくが西表島で見つけたきのこ
すでに新種発表されているきのこでも、発見例の少ないきのこを見つけたらとてもうれしいです。ぼくが見つけた「コガネムシタケは、コガネムシの成虫から生えるめずらしい冬虫夏草で、兵庫県ではまだ発見例がなかったきのこです。兵庫県ではじめて見つける事ができて、とてもうれしかったです。